日本で予防歯科が浸透していない理由の一つには、保険制度が関係していると考えられます。日本では、むし歯になれば健康保険を利用して治療を受けられます。しかし、2020年の診療報酬改定で一部の予防歯科に対する保険診療が認められる前までは、予防歯科は自費診療でしか受けられないものでした。そのため、歯医者は歯が痛くなったら行く場所という認識が一般的になったのでしょう。現在は、歯石の除去や歯周病のチェックなどは保険が適用されるものの、まだ保険適用外の項目が多いのが実情です。
予防歯科の先進国であるスウェーデンでは、予防歯科にも保険が適用されます。そのため、スウェーデンでは歯科医院は定期的に通院してメインテナンスを受ける場所という認識が広がっており、予防のために積極的に歯科医院に通院し、口腔ケアを徹底することが習慣化しています。一方、日本では半数以上の人が年に1回も歯科検診を受けていないというデータもあり、歯科医院は予防のために通うところという意識はまだ浸透していません。